shin-demaeの日記

うなだれ10年大学院修士2年生

人生約20年で出会ったプロ

人生20年くらいで、この人はプロだ、と感じたのは、二人いる。

 

 大学生時代のA先生。生徒らじゃ聞き取れないような、わずかなの音やリズムのずれを聞き分けて、音が違うと、それじゃねえとイライラを抑えずに詰めてきた。こだわりというより、強い信念をもっていて、曲げなかった。まずその技術の高さが、理解不能。今のはよかったって言われたところで、さっき怒られたパターンと何が違ったのか、正直自分でわからなかったりした。昔から正確性を聞き分ける才能には恵まれていたらしい。半端なく勉強もしている。苦しくても苦しみながら頑張ってて、すごい。

 自分の信念のために、一切とりつくろわずに嘘をつかない人だった。それゆえの厳しさだったし、機嫌の良しあしも全く隠さないから、10分前は太陽だったにの10分後には大変な大嵐になっていることもあり、機嫌がいいからといって油断はできなかったし、そもそも機嫌がいい瞬間は少なかった。廊下で会うたびにビビっていた。挨拶すらもビビった。一応言ったから、と言い訳するためにこんにちはの形に口を動かしてた。直接かかわるのは怖くて嫌だったのは、こういうへっぴり腰が、一番嫌いそうだったから。でも生徒には海溝より深い愛があった。それはめちゃくちゃに伝わってた。厳しいのは、全部生徒を思ってのことだった。

 それから、いろんなことに関心があった。教育にも政治にもとても関心が高くて、というか気にならずにはいられないという感じだった。生徒たちにとっては、もはや当たり前すぎて何の疑問も抱いていないルールにも、それか当たり前過ぎて変わることをあきらめている常識にも、疑問を持って、感情的にぶつかっていってた。すごい人って、いろんなことに関心があるんだなって思う。

 その人が、業界の中でも、際立って世界的に活躍していたのは、日本だけじゃなくて世界全体を相手にみていて、世界のアイテムやそれを作り上げる人に強く関心があって、仲良くなろうと近づいて行ったからだと思う。実力だけでも神の領域だけど、世界で活躍している訳はそれだけじゃないと感じた。それは明らかだった。

 周りの人と協力的で、A先生の才能や考え方を信じて、ついていく人が周りにたくさんいた。それが先生が作りたいものを実現させていっていた。チームじゃないと、できないことはたくさんあった。チームを広げて、私を含めてたくさんの人に、成長の機会や当たり前じゃない価値観の存在を教えてくれた。輪を広げていることは、それは周りの人の生活を豊かにしてくれて、惑わされない人間にしようとする機会をくれてた。

 

 大学院で出会ったH先生。昔は厳しかったらしい。自分も、同級生の中じゃ、どうやらきつめな言葉を言われているみたい。ロンリテキ思考力がすごい。文章もスライドもコテンパンにやられるけど、その人が示す指示は、的確。正直、生徒が示したダメな例と、先生の言う良い例の違いは、分かっていないときもある。自分じゃ感知できないくらいの違いに気づいてる。でたらめな指示って訳じゃなく。すごい。本当はわかってないなんて言ったら、本気で失望されるだろうから、絶対に言えないけど…。

 こうと決めたことを必ずやり抜いている。それを感じるのは、生徒に接している場面。ものすごく感情を律して、教師として理想的なふるまいを保とうとし続けている。生徒をものすごく観察していて、めちゃくちゃに気を配っている。穏やかな声と表情をキープするのに、とんでもなく神経すり減らしているのが痛いくらい伝わる。絶対すごく疲れてる。なのに、その姿勢が崩れた瞬間を、ほとんど見たことがない。プロだと思う。素っぽい先生を2回くらいみたことがある。2回とも、H先生が、仲の良いM先生と話していたとき。いつも鼻濁音、腹式呼吸の先生が、「○○せえんだよ」と低い声で笑いながら発した。大学生みたいに荒っぽくて、あまりの差に驚いた。本当に気を使って演じてるんだと思った。H先生のこの努力によって恩恵を受けたかというと、わからない、はずは、ない。

 それから、やっぱりこの人も、よく質問していたりして、いろんなことに関心があるんだと思う。そう見せているのかもしれない。感覚が敏感なんだと思う。それから、自分の発言に自信を持っている。いろんな人の批判を恐れずにしているのを見てそう感じるし、人の批判をできるって、すごい人のように、見える。

 この人も、いろんなところにつながりがあって、すごいと思う。積極的にかかわりに行っているらしい。自分から発信していって、いろんなところにかかわりに行って、学ぶと同時に自分のスキルを提供してくる場所を意識して作っているんだと思う。それもプロっぽい。厳しいけど、根底には人のためを思っているというのがわかっているので、みんな慕わざるを得ないんだと思う。

 個人的には、やっぱりこんなへっぴり腰が一番嫌いそうだから、全然話しかけたくない。でもすごい。これからも、指摘を受けるたびに、どんどんこの先生のことを苦手になっていくと思う。

 

 

 こいつはプロじゃないクズと思った人は、塾講師のMさん。「最近の生徒は、本当に何も知らないんだよね」と、バイト面接を受けに来た私に、バックヤードで言った。完全にバカにしていた。授業準備は何もしない、開始前の5分で出来ると、誇らしげに言っていた。瞬きが長くて、眉毛を必要以上に持ち上げたり下げたりしていた。学生の私に楽しそうにマウントをとっていた。

 しかし、Mさんはいわゆるいじられキャラで、生徒には好かれていた。生徒の前に立った時の、教師としてのキャラづくりや振る舞いの選択に関しては、プロっぽ、かった。男の授業が誰よりもゴミだったことは心の救いだった。